一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 袴のようなスカートにすれば、男っぽさがでるし、ふわっとしていてもロングでもいけるかもしれない。
 動きが自由な服。
 時間を忘れて何枚も描いた。
 それこそ夕陽が見えても、外が真っ暗になっても――一人になったことも忘れて。

「琉永」

 私を呼ぶ声がしたけど、眠くて目が開けられなかった。
 描いているうちに眠ってしまったらしい。

「サイン、三日月から満月になったんだな」

 その声は理世だった。
 私は理世に会って、満たされた。
 そう思ったから、満月にサインを変えた。
 欠けたままではおかしい気がして。
 そんなふうに思わせてくれたのは理世なのよ、と目を開けて言いたかったけれど、私の頭をなでる理世の手が心地よくて、また眠ったままでいたかった。

「琉永」

 私の頬に触れる柔らかな唇の感触。
 そのキスで、私の目蓋がわずかに動いたのを理世は見逃さなかった。

「起きているんだろ?」

 私がタヌキ寝入りをしていたことは、すでにお見通しだったようだ。

「……気づいてたの?」
「もちろん。琉永がキスしてほしいこともね」

 そんなこと考えてなかった――と思う。

「家に帰ろう」

 理世がそう言ってくれたことが嬉しくて微笑んだ。
 私は理世の差し出した手をとる。
 
 ――同じ家へ帰るために。
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