一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
「おじいちゃんたちが生きてた頃だよね。でも、あの後、発作が起きて、入院しちゃった」

 懐かしそうに語る千歳にとって、それはもう過去のこと。
 今日のランチは千歳が食べてみたいと言っていたそば粉のガレットを食べにきた。
 駅前にあるフレンチカフェは、フランス人の店主が焼くガレットを売り物にしていて、ガレットの真ん中には白と黄色の目玉焼きがのせられ、レタスやハムが添えられている。
 デザートはジンジャーとリンゴのシャーベット。
 店内には店主が趣味で描いたという海の絵が飾られていた。
 この店は千歳が雑誌で見つけて、前々から行ってみたいと言っていたお店だ。

「ずっと来たかった店に来られてよかった」
「そうね」

 一緒に行こうねと言っていたのを千歳も覚えていたらしい。
 念願のお店に来れて、私も大満足だった。

「でも、私、お姉ちゃんがいなかったら、きっと退院できなかったと思う。お姉ちゃんは理世さんと結婚して無理してないよね? 大丈夫だよね?」
「理世が無理していないか心配なくらい大丈夫よ」
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