一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 憂いを帯びた顔は色っぽく、カメラのシャッター音が消え、ボタンを押すのを誰もが忘れてしまっている。

「病気の妹を助けたいと願う彼女の優しい気持ちにつけこんだのは、俺のほうでした」
「そ、それでは、プロポーズされたのは、専務からということでしょうか」

 顔を赤らめた女性記者が、質問すると、理世はにっこり微笑んだ。

「それはもちろん、俺からですね」

 完全に理世の虜にされた女性記者は、うっとりとして、『なんて、素敵な話……』とつぶやいている。
 そんな理世に、負けない男記者が、ずいっと前へ出た。

「彼女はブランド『Fill(フィル)』のデザイナーですが、結婚してから、『Fill(フィル)』を麻王(あさお)グループ傘下に置きましたよね? それは彼女からの要望ですか?」
「信じていただけないかもしれませんが、提案したのはこちらです。『Fill(フィル)』に入る前から、彼女のことはデザイナーとして、目をかけ、気に入っていました」

 ――入る前?

 それだと、学生の私と理世が会っていたことになる。

「学生の頃から、狙っていたということですか?」
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