一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
第30話 罠でした!?
『理世は私を助けてくれた。利用されたなんて思ってない!』

 そのシーンを何度眺めれば気が済むんだろうか。
 家に帰ってきてから、ずっと流れている。

『ドラマみたいで、素敵ですね!』
『まさに現代のシンデレラ!』

 盛り上がるコメンテーターたちに、私は心の中でコメントする。

 ――相手は王子じゃなくて魔王だけど。

 リセが王子なんて可愛らしい存在には、どうしても思えなかった。

「理世。そろそろ消してもらってもいい?」
「せっかく楽しんでいるのに。ほら、琉永も俺の隣にきて、一緒に観ようか」

 一部始終を複雑な思いで私は眺めていた。

「理世……。こうなることをわかっていたわよね?」
「もちろん。だから、録画できている。俺の録画時間は完璧だったな」
「完璧なのは録画時間じゃなくて、演技でしょ!?」

『麻王グループの王子様みたいな専務。優しくて、かっこよくて、非の打ち所がない』

 世間にそんなイメージが定着したと思う。

「演技じゃなくて、俺は心から言ってるよ」

 映画のクライマックスを思わせるキスシーンが流れて、思わず、テレビの電源を切った。
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