一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
「今、一番いいところだった」
「ぜんぜん、よくないっ!」

 キスシーンが一番恥ずかしすぎる。
 ご満悦な理世は、絶対に録画を消させてくれなかった。
 むしろ、永久保存する勢いだ。

「これで琉永に、悪い虫が近寄ることもなくなった」
「悪い虫って……。虫が近づいた途端、息の根を止めていくスタイルの人間に言われてもね」
「そう。俺は息の根を止めてしまうかもしれないから、琉永は絶対、浮気しないように」

 もう、なんと言って返していいかわからない。
 しかも、なんのお祝いなのか、食後にケーキまで買ってあり、フルーツと生クリームたっぷりのホールケーキが、リビングのテーブルの上で存在感を放っていた。
 紅茶をいれ、ケーキナイフでケーキを切った。

「もしかして、理世は啓雅(けいが)さんが仕返しに週刊誌を使うって、事前にわかっていたの?」
「そう。だから、記事を止めなかった。 今日のためにね。記者に頼まなくても、自然に明日、違う記事が載る」

 ――自然? 罠を仕掛けて、自然とはどいうことですか?
 
 思わず、苦笑した。
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