一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
「俺以外に誰が着れるんだ」

 笑う理世に泣きそうになった。
 理世が私を抱きしめようとしたのを――ばしぃっと恩未さんが手刀で手を叩き落とした。

「おい。邪魔するな」
「イチャイチャは後にして。服を合わせるわよ! 針と糸、それから安全ピンを用意して!」

 服を手にし、恩未さんが指示をする。
 慌ただしい空気に理世はため息をついた。

「しかたないな」

 理世がスーツの上着を脱ぎ、髪をあげた時、モデルのリセの顔をしていた。

 ――どうしよう。こんな時なのに、リセがすごくかっこいい。

 私が自分の頬を叩いていると、ローレライがじっと私を見ていた。

「ご、ごめんなさい」
「いいえ。私より、リセのほうが似合うと思うわ。リセが来てくれてよかった」
「はい」

 ほっとして微笑むと、笑わないはずのローレライが、微かに笑った気がした。

「琉永ちゃん。控え室にきて!」
「はい!」

 私も一緒に控え室へ入り、服を合わせていく。
 その間に、理世は髪とメイクを始め――理世からリセに変わっていく。

 ――魔法みたい。

 リセはメイクを終えて、目を開ける。
 それだけで、もう別人だ。
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