一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 最初は『Lorelei(ローレライ)』のオマケだったけど、終わってみたら、『Fill(フィル)』は海外のファッション雑誌にもとりあげられ、家族全員で着るのにサイズ展開をもっと増やしてほしいとか、繊維会社と共同で着心地のいい服を研究しようなど――

「おかげで道が拓けたよね」

 紡生さんは鬱屈とした雰囲気はなくなって、明るくさっぱりとした口調で、私たちに言った。

「これからですよ。紡生さん」
「わかってるって。でも、海外の新店舗は琉永ちゃんに任せるからね! 注目されたのは、琉永ちゃんがデザインした服だから、そのセンスに、私は委ねる!」
「ありがとうございます。頑張ります」
 
 海外だけでなく、国内でも新店舗を立ち上げるため、毎日が忙しく、結婚式どころではなくなってしまった。

「新婚なのに悪いわね」
「いえ、そんな。今が大事な時なのは、わかっていますから。それに、理世も落ち着いてから結婚式をやりたいって言ってくれてるので、まだやらなくてもいいかなって」

 時間ができてから、二人で式を挙げればいい――そんな風に思っていた。

「大丈夫なわけないでしょ!」
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