一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 恩未(めぐみ)さんはさっきまで真剣に服の縫い目を確認していたのに、バッと顔をあげた。

「結婚式はしなきゃ! っていうか、して!」
「え? でも、今は仕事が楽しくて……」

 指で頬を突き刺さされた。
 私のぷにぷにした頬を突き刺したのは、ニマニマ笑っている紡生さんだった。

「なにするんですか」
「琉永ちゃん。これを見てもそんなこと言えるかなぁ~?」
「これ?」

 最近、紡生さんの机の周りにできたカーテン。
 机を取り囲んだカーテンは、試着室くらいの大きさのもので、中の作業がまったく見えない。
 演技がかった仕草は、手品の練習をしているのかもと、私に思わせた。 

「もしかして、けん玉の次は手品師ですか?」
「違うっ! 今の私はデザイナーだよ」
「紡生さんは前からデザイナーですよ」
「……そうだね。まあ、見て!」

 言われるがままにカーテンのそばまで来ると、紡生さんはシャッとカーテンを引いた。

「じゃーん!」

 カーテンの中からオートクチュールの白いドレスが現れた。
 ただの白いドレスじゃない。
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