一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 理世はお義父さんと仕事の話をしていて、あの人に挨拶はしたかとか、お礼を言ったかと、確認しているようだった。
 けれど、お義父さんは私を見て、軽く会釈をしてくれて、私も会釈で返した。
 親族のテーブルを離れ、ホッとしたのもつかの間――他の人たちの話し声が耳に入ってきた。

「INUIグループの業績が下がっているらしいな」
「ナイアガラ状態だ。社長の息子がパワハラやセクハラをしていたっていう報道のせいだろう。マスコミに内部リークされたのが痛かったな」
「アパレル業界は女性相手の業界だろ? 飛び火しないよう取引を控えるところも出てきているらしい」

 ――ナイアガラ!? つまり、急激に落ちているってこと?

 そんな会話が聞こえてきて、ちらりと理世を見た。
 理世はさわやかな笑顔をキープし、好感度は最大値。
 さすがはモデルの仕事をしていただけある。
 でも、私の目は誤魔化せない。
 調べてリークしたのって、理世だと思う。
 一瞬だったけど、話していた人達のほうに視線を走らせていたから。
 私はそんな理世の手に自分の手を重ねた。

「琉永?」
「私がしっかり見張っておかなくちゃ」
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