一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 私の結婚式のドレスだけど、オートクチュールドレスだったのは、ウェディングドレス一着だけではなかった。
 私のドレスはすべて『Fill(フィル)』のオートクチュールドレス。
 将来、『Fill(フィル)』はオートクチュールにも進出するだろう。
 理世はこの結婚式で、私がデザイナーであると認めさせ、『Fill(フィル)』の広告も同時にやってのけたのだ。
 有能すぎるのもどうなのかしらと思いながら、誰もこないうちにケーキを口にした。

「不機嫌だな」
「そんなことないです。仕事熱心な旦那様で嬉しいなって思っていました」
「嘘つきだな」

 私の少しだけすねた様子に理世は笑った。
 わかってる。
 理世のお父さんは来年の春、社長を退くことになって、会長になることが決まった。
 これで、麻王グループの実権は、完全に理世が握る。
 結婚式前にそれが発表されたのだって意味があるってことも。

「理世には敵わないわ」
「そんなことないけどね」

 理世は笑いながら、私の口についたケーキの生クリームを指ですくうと口にいれた。

「な、なにしてっ……」
「まだケーキ食べてなかった」
「みんな見てるでしょ?」
「そうだな。けど、見せつけておけばいい」

 今日は結婚式なんだから、と理世が言って私にキスをした。
 キスは甘い生クリームの味がした――
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