一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
第5話 憧れのモデル『リセ』
 ショーが終わり、会場近くのカフェにやってきた。
 私が泊まっているプチホテルの近くのカフェへ行く予定だったけど、そんな余裕はない。

 ――早く描かなきゃ、頭の中のリセが色あせてしまう!

 そう思ったからだ。
 適当に選んだカフェだけど、けっこう広く、一階フロアだけでなく、テラス席と二階席がある。
 入口から続く壁には、鏡がずらりと並んで店内を映す。
 先に進むと、テイクアウト用の焼き菓子とパン、ケーキ、何種類もの色鮮やかなマカロンがショーケースの中に入っているのが見えた。
 紅茶やジャム、コンフィチュール類は窓側に並ぶ。
 お土産用の箱を選べるらしく、蝶や薔薇、蔦と鳥などがデザインされた箱がある。
 あまりに可愛くて、全部欲しくなってしまう。
 けれど、今の私には目の前の可愛らしいものより、心を奪われているものがある。
 モデルのリセ。
 私の頭の中は、彼女が着る服のイメージで頭がいっぱいだった。
 テラス席に座り、ホットチョコレートとクロワッサン、クレームブリュレを頼んだ。
 待っている間に、バッグに入っていたスケッチブックを取り出す。
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