一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
第9話 忘れさせない
 朝になり、私はようやく昨晩の出来事が夢ではないことを自覚した。

「……すみませんでしたっ!」

 窓からはパリの象徴ともいえるエッフェル塔が見えて、青い空が広がっている。
 部屋はスイートルームだったらしく、色をわずかに変えたベージュのソファーやテーブル、クッションなどが置かれたリビングルームが、寝室の開いたドアの隙間から見えた。

「ああ、起きたか」
「よ、酔っぱらって絡んで、その上、泊まらせていただいて……」
 
 テラスにはリセがいて、昨日とは違うビジネスマンスタイル姿。
 男物のスーツを着た姿のリセは完全に男の人だった。
 その姿に、私は見覚えがある。

「あの、もしかして、私と一度会ったことあります?」
「一度……?」
「あ、あれ? やっぱりありませんでした?」
「さあな」

 リセは曖昧な返事をして笑う。
 
 ――これって、私に完璧に当てろってことよね?

 答えを言おうとしたのに、リセはこれから仕事なのか、腕時計を確認している。

「一緒にゆっくりできなくて悪いけど、俺は仕事があるから先に出る」
「あ……ありがとうございます……」
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