一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 唇が音をたてて、皮膚に触れ、首に赤い痕を残す。

「こ、こんなの、残されたら……」
「忘れられない? 顔が真っ赤だぞ」
「だっ、誰のせいでっ!」

 キスされた首を手でおさえ、声を張り上げるので精一杯だった。
 たったこれだけで、身動きひとつできなくなる。

「悪いのはどちらだろうな」

 からかうように言って、私の手に香水の瓶を戻す。
 リセはスーツのジャケットを羽織り、髪をセットし、前髪をあげた。
 彼がつけたけれど、私からも同じ香りがして、きっとこの先、香水をつけるたび、私は彼を思い出す。

「それじゃあ、またな」
「また!?」
「そのうち会うことになるだろうし」

 リセは私のデザイン画を手にしていた。
 それは、リセをモデルにしたデザイン画で、昨日と違って、今は現実に戻った私。
 だから、そのデザイン画を見られるのが、恥ずかしく感じた。

「かっ、返して!」

 伸ばした手を軽々かわし、ベッドに手をつく。
 まさか、またキス!?
 期待したわけでじゃないけど、近づけられた顔があまりに綺麗で、体が金縛りにあったみたいに動けなくなった。
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