政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
「あははー。ご相談の内容はね、難しいけれど頼りにしてもらえたのは、本当に嬉しいから私も考えてみるね」
「池田さん、ありがとう」

 思い切って言って良かったと浅緋は思った。
 笑顔で頼ってくれて嬉しいと言ってくれることこそが、嬉しい。

「華、でいいよ。私も浅緋ちゃんって呼んでいいかな?」
「華さん。はい! ぜひ私もそう呼んでいただけたら、嬉しいです」

「あと敬語もなし! 年も同じなんだしタメで行こう!」
「はい……あ、うん」

「ま、ちょっとずつ、ね。で、お悩みは寝室が一緒じゃないってこと? それって、一緒に住んでいて、結婚も決まっていて、寝室が別ってことなの?」
「うん……」

 池田が考えた選択肢は2つあった。

 1つは浅緋を大事に思っているから、浅緋のペースに合わせようとしてくれていること。

 けれどもし、浅緋に対して気持ちがあるのだとすると、それは男性として相当な忍耐を強いられている、ということになる。
 一緒に暮らしているのに、手を出せる状況なのに、寝室は別なのだ。

 そして、考えられるもう1つの可能性は、浅緋に対しての気持ちはない、ということだ。
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