政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
「迷うんだったら、やってみたらどうかな」
「え?」
 つい、ぼうっと考え事をしてしまった浅緋に片倉が笑っている。

「何を考えていたの? 桜華会の件だよ?」
「あ、ああ、そうですね! 桜華会……え? やりますか?」

「ええ。個人の規模としては大きいけど、パーティというほどでもないと思うな。協力しますから。それに園村さんのご友人が楽しみにしていらっしゃったんでしょう?」

「はい……」
「迷うことはやってみよう?」
 ねっ?と片倉は浅緋に首を傾げる。

 片倉がこうやって浅緋を助けてくれることが浅緋には本当に有難く、嬉しい。

 浅緋のことをいちばんに考えてくれていると、とても伝わるから。
 片倉が側にいてくれるから、やってみようと思えるのだ。

「分かりました。では、そのように母に伝えます」
「そうして。僕もなんでも手伝うからね」
「はい」

 そう言って、浅緋はにこっと笑う。
 すると、片倉にきゅっと抱きしめられた。

「浅緋、デートしようか?」
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