政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
すいっと眼鏡を押し上げて、まじめな顔をして片倉はそんなことを言った。
副交感神経……。
こんなことを言われたのは浅緋は初めてだ。
つい、くすっと笑ってしまう。
その顔を見て、一瞬目を見開いた片倉はすっと立ち上がった。
「お食事にしましょうか」
「はい」
それまでは婚約者と言われてもピンとこなかった浅緋だ。
けれど幼いころの話を父がしていたことや、優しいその片倉の行動に、浅緋はこの人を選んだ父は、間違いなかったのかもしれないと思った。
その後はあまり会話はなく、むしろ今後の引越しの件などを事務的に淡々と片倉は伝えるようにして、食事は終わった。
食事を終えた片倉は、運転手付きの車で浅緋を家まで送ってくれた。
後部座席の端と端に座って、車の中では何も会話はない。
浅緋はもともと自分から積極的に話をすることが得意ではないし、人との沈黙も怖くない。
むしろ、安心して一緒に静かに居られる人はとても貴重な存在だと思っていた。
副交感神経……。
こんなことを言われたのは浅緋は初めてだ。
つい、くすっと笑ってしまう。
その顔を見て、一瞬目を見開いた片倉はすっと立ち上がった。
「お食事にしましょうか」
「はい」
それまでは婚約者と言われてもピンとこなかった浅緋だ。
けれど幼いころの話を父がしていたことや、優しいその片倉の行動に、浅緋はこの人を選んだ父は、間違いなかったのかもしれないと思った。
その後はあまり会話はなく、むしろ今後の引越しの件などを事務的に淡々と片倉は伝えるようにして、食事は終わった。
食事を終えた片倉は、運転手付きの車で浅緋を家まで送ってくれた。
後部座席の端と端に座って、車の中では何も会話はない。
浅緋はもともと自分から積極的に話をすることが得意ではないし、人との沈黙も怖くない。
むしろ、安心して一緒に静かに居られる人はとても貴重な存在だと思っていた。