政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
 本屋や雑貨屋なんて、片倉はくだらないって思うかもしれないと言い出しづらかったけれど、片倉は一緒に楽しんでくれた。

 一緒に本を買って、エプロンを選んでくれて、この人とずっと一緒にいたい、と強く思ったのだ。
 浅緋のために一緒に楽しんでくれる人。

 レストランの大きな窓からは、夜景が綺麗に見えていた。

「慎也さん……」
「なに?」
「ずっと一緒にいたいです」

 一瞬目を見開いた片倉が、ふわりと笑って、ぽんと浅緋の頭を撫でる。
「ずっと、一緒にいましょうね」

「ずっとです」
「うん」

 ずっとはずっと、だ。
 子供が出来ても……、歳を重ねても。

 片倉は嬉しい気持ちではあったけれど、浅緋の真意を測りかねていた。

 ずっと、と言ってもらえるのはとても嬉しいし、自分はもとよりそのつもりだ。

 何なら、本当に浅緋以外はいらないし、世の中が全員浅緋だったらいいのにくらい思っている。

 しかし、今の問題はそこにはない。
 ずっとってまるでプロポーズのようだけれど、それは……。

 それは……⁉︎


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