政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
 あれから浅緋はお風呂に入る時以外はネックレスを外さないのだ。
「はい。外していません」

 そう言って、浅緋は確認するように首元を指で撫でる。最近こうして手でネックレスに触れるのが、癖のようになってしまった。

 目の前の片倉も、その浅緋の首元を撫でる。
 急に首元を撫でられて、浅緋は身体がふるっ、と揺れてしまうのを感じた。

「本当だね。ちゃんとつけてくれている」
 ネックレスに触れるだけなのに、なぜ毎回こんなにドキドキしてしまうのだろうか。

「ねえ、浅緋? 今日もプレゼントがあるから、ベッドを確認してみてね」

「え⁉︎ 今日もですか?」
 プレゼント、しすぎなのではないだろうか……。

「私もいい加減お礼しなくては……」
「ダメ。浅緋からのお礼は僕がもう決めているから」

 そんなことを言って浅緋を見る片倉の表情が艶を含んでいる。
 そして、浅緋のネックレスを指で掬って、少しだけ屈むとそれに軽く口付けたのだ。

 浅緋の胸がきゅっとする。
「それって……」
「うん。浅緋からのお礼はキスだよ」
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