政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
 誰にともなく言い訳を始める浅緋だ。
 ふう……と口から漏れてしまったため息は、意図せず熱っぽいものになってしまったような気がした。

 片倉とのキスは嫌ではない。
 むしろ、訳が分からなくなるくらいふわふわするし、最近はすごく自分がとろけてしまうような心地になってしまうのも認める。

 キスだけではなくて意味がある……。
 このプレゼントが始まった意味。

 浅緋はネックレスのプレゼントの意味を検索してみた。

 出てきたのは、『絆を深めたい・永遠に繋がっていたい』意味を持つという回答だ。
 思わず浅緋はスマホをぎゅっと握ってしまった。

──香水を送る意味は?
 こちらは『親密になりたい・独占したい』になっている。
 どちらも似たような意味のような気がした。

 片倉が伝えたいことはこれなんだろうか?

「ただいま」
 玄関で声がしたので、浅緋は考えを中断させて、寝室のドアを開けた。

「慎也さん、お帰りなさい」
「ただいま。……ん、いい香り、早速つけてくれたんだ」
「はい」
< 212 / 263 >

この作品をシェア

pagetop