政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
 さっきから経験したことのない感覚ばかりで、どうしたらいいのか分からなかったから。

 すると、浅緋の顔を覗き込んでいた片倉が、下腹部に移動して、浅緋の両足をその手で広げる。

 そんなことをしたら、あられもない場所が片倉の目の前になってしまう。

 そう思った浅緋はじたばたしてみた。
「あーさひ、こら」
 その足をぎゅっと抑えられる。

──だめだわ。ピクともしません。
 鍛えてありそうなその身体は、どうやら伊達ではないらしい。

「暴れるとか、本当に可愛いなぁ君は」
「やだ、やですっ。そんなことしたら見えちゃいます」

「だって、見ないと舐められない」

 え⁉︎舐め……?
 浅緋は耳を疑う。

「嘘ですっ! そんなの、まさか……」
 なんでそんなに嬉しそうなんです⁉︎

「だって、浅緋の全部をもらうつもりだからね」

 浅緋は自分のそれに対する知識がとても(つたな)かったことを知った。
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