政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
「教えてって、言ったのに」
「っ……ご、ごめんなさい」

「謝らなくていいよ。浅緋の中に触れていたからイく時はすごくよく分かったし。ただ、イくって言う浅緋の声が聞きたかったから。今回は気持ちよくなって欲しかったから顔があまり見られなくて残念だけれど、そのうち見せてね」

──な……なにかとんでもなく卑猥なことを言われているような気がします。

「浅緋、夫婦になるなら当然だよ?」
 たまにそう言って、片倉はすごく真っ直ぐな目をするのだが。

……本当でしょうか?
 世の中のご夫婦はこんなに恥ずかしいことを?

「僕と浅緋のルールだよ」
 そう言って額にキスされるのは、まるでいつも約束の刻印のようで浅緋はその言葉に逆らえない。

 それに2人のルールなら、それでいいのかなと思うのだ。
 そうして『2人のルール』が少しずつ出来ていくことは、悪い気持ちはしないから。

「はい……」
 そう返事をした浅緋の下肢にまた片倉の指が触れる。

「え……あの、私……」
「浅緋、肝心な事がまだだよね?」
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