政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
 異物感も圧迫感も先程の指の時とは比べ物にならない。

 ふ……と笑った片倉がきゅっと浅緋を抱きしめる。

 抱きしめてくれている片倉の身体が、少ししっとりとしているのを浅緋は感じた。

「慎也さん、つらい?」
「平気。浅緋、君こそつらいだろうに」
「大丈夫。お願いします……っ」

 めりめりと音がしないのが不思議なくらい、圧倒的な存在感のものが侵入してきた。

「んっ……」
「浅緋……」

 気づいたら、涙が零れていたらしく、それを片倉に舐め取られる。

「あ……」
 まぶたへのキスで、ゆっくり目を開けた浅緋は、目の前の片倉が眉間に皺を寄せている表情を見た。

 浅緋の視線に気づいて、片倉が淡く笑う。
 その時、片倉の下半身が浅緋の下半身にぶつかった。

「入ったよ?」
「慎也、さん……すごくっ、……すごく幸せです」
「ん……、良かった」

 浅緋を撫でた片倉が顔を寄せる。
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