政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
 自然に重なり合った唇は、深いキスへと変わっていった。

 もう、それすらも自然なことで、深く舌が絡まっても上顎を軽く舐められても、唇を食むように啄まれても、ただ、ひたすら気持ちいい。

 緩く、片倉の腰が動いて、浅緋の中にある熱くて硬いものが動いている。

 最初入らないのではないかと思ったけれど、ゆるゆると動かされているうちに、どこかに擦れたようだった。

「あ……ぁんっ……」

 甘えるような嬌声が自分から出たのだとは浅緋は信じたくないけれど、堪えきれなかったのだ。

「その声、っ……やば……」
 片倉の動きが徐々に早くなるにつれて、浅緋の声もとめどなく溢れてしまう。

 目の前の片倉は見たこともないくらい壮絶に艶っぽくて激しく打ち付けられる腰も、それに伴って粘着質な音を上げる下半身も初めて受け入れる中も、そのすべてに対処することなんて出来なくて、浅緋はただただ甘い声を上げることしか出来なかった。

「浅緋っ……浅緋、浅緋……」
 何度も呼ばれるその名前に浅緋も縋るように片倉に捕まって、その名前を呼ぶ。

「っ……慎也、さんっ……」
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