政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
さらりと立って、部屋を出ていく片倉を見守った彼女が「ばか……」と小さい声で呟いたのは、片倉には聞こえていなかった。
そうして、しばらくしてから彼女から『好きな人ができたから、もう会わない』というメールが来た時も、そうか、と思っただけだ。
来るものは厳選し、去るものは追わないのが片倉の信条だからだ。
人間関係、ことに女性関係はドライで構わない。そんなことに取られる時間は片倉にはないのだ。
そんな中、園村からの提案があったのだ。
『大事だ。だから信頼できるものに託したい。会社も、浅緋も』
片倉自身はどこに行っても騒がれるベンチャーキャピタルの若きCEOという立場だ。
結婚するとしたら、もしかしたらそのうち見合いでもするのか、けれど、それが損得勘定の絡まったような相手なら愛せないと予想はついたし、それならば誰も娶らずに一生独りでいても構わない、と考えていた矢先だった。
写真の中の浅緋に惹かれたことは間違いはないけれど、それは写真だったから、とも考えられた。
そうして、しばらくしてから彼女から『好きな人ができたから、もう会わない』というメールが来た時も、そうか、と思っただけだ。
来るものは厳選し、去るものは追わないのが片倉の信条だからだ。
人間関係、ことに女性関係はドライで構わない。そんなことに取られる時間は片倉にはないのだ。
そんな中、園村からの提案があったのだ。
『大事だ。だから信頼できるものに託したい。会社も、浅緋も』
片倉自身はどこに行っても騒がれるベンチャーキャピタルの若きCEOという立場だ。
結婚するとしたら、もしかしたらそのうち見合いでもするのか、けれど、それが損得勘定の絡まったような相手なら愛せないと予想はついたし、それならば誰も娶らずに一生独りでいても構わない、と考えていた矢先だった。
写真の中の浅緋に惹かれたことは間違いはないけれど、それは写真だったから、とも考えられた。