政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
「今日、話してくれたらその話聞きたいなって思っていたの!」

「園村さんのお相手だもの、素敵な人なんだろうなーって」
 真っ赤になってしまった浅緋を、微笑ましげにみんなが見る。

 浅緋は園村ホールディングスのお嬢様であることは間違いない。
 でも分け隔てなく、誰にでも優しく笑顔で接する。
 浅緋の父である前社長は怖い時もあったけれど、そんな時はさりげなくフォローする浅緋の姿に、みんなは好意を持っていた。

 社外のお客様からも、浅緋の対応はとても評判が良かった。
 最初は秘書採用の予定だったのだけれど、あまりにたくさんの人に接してしまうと、誰かに見初められてしまう可能性がある、と浅緋は大事に大事に会社の中にしまわれていたのだ。

 当の浅緋は、そんなことは知らなかったのだけれど。

「え……っと、優しいです、とても」
 片倉のことを一生懸命思い出して、浅緋は話す。

「うんうん、それで?」
 それだけでは勘弁してくれそうにない雰囲気だ。

「背が高いです」
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