政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
5.宝物
エレベーターを降りた時、抱きしめるのは解いてくれたけれど、部屋の中に入ったら、またぎゅうっと抱きしめられてしまった浅緋だ。
「慎也さん」
嫌ではない……けれど、今までの片倉では考えられない行動なのだ。
「僕では、ダメですか?」
「え?」
片倉ではダメか……なんてどういうことなのだろうか。
そんな風に思ったことはないし、むしろ触れられることは片倉しかダメなのに。
片倉は浅緋をぎゅうっと抱いたままだ。
「祐輔から……電話があったんです」
浅緋を強く抱いたままなので、片倉の声はくぐもって聞こえる。
「祐輔さん?」
「槙野です」
「はい」
「浅緋さんの食事の席に、男性が同席している、お前達は大丈夫なのか、と」
浅緋は驚いて顔を上げる。
けれど、その頭をきゅうっと抱き込まれてしまったのだ。
その閉じ込められた胸の中で必死に浅緋は伝える。
「それは、知らなかったんです。お話はそれはしましたけど、すぐに槙野さんがいらっしゃったし」
「慎也さん」
嫌ではない……けれど、今までの片倉では考えられない行動なのだ。
「僕では、ダメですか?」
「え?」
片倉ではダメか……なんてどういうことなのだろうか。
そんな風に思ったことはないし、むしろ触れられることは片倉しかダメなのに。
片倉は浅緋をぎゅうっと抱いたままだ。
「祐輔から……電話があったんです」
浅緋を強く抱いたままなので、片倉の声はくぐもって聞こえる。
「祐輔さん?」
「槙野です」
「はい」
「浅緋さんの食事の席に、男性が同席している、お前達は大丈夫なのか、と」
浅緋は驚いて顔を上げる。
けれど、その頭をきゅうっと抱き込まれてしまったのだ。
その閉じ込められた胸の中で必死に浅緋は伝える。
「それは、知らなかったんです。お話はそれはしましたけど、すぐに槙野さんがいらっしゃったし」