政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
「他の写真も見ていいぞ。うちの庭で撮ったものなんだ。俺の宝物だ」
預かったスマホを動かして、次の写真も見せてもらう。
綺麗な横顔と、カメラに気づいて赤くなって照れてしまっている正面の顔。
そして遠くから園村と話しているらしき会社での姿もあった。
「これは?」
「うん。うちの社のものが撮ったやつだな。本当に親バカだと笑ってくれて構わないんだが、他にやるのが心配でうちの会社で、俺の側で働かせているんだ。それでも、浅緋を嫁にとかいう声が引きも切らなくて対応に苦慮している」
「浅緋さん……」
「娘の名前だよ。茜で薄く染めた緋色のことだ。薄い緋色だよ」
「お似合いの名前ですね」
「気に入ったか?」
「素敵なお名前だと思います」
「名前じゃないよ。浅緋のことだ」
園村の意図するところを感じて、片倉は苦笑する。
「大事なお嬢さんではないんですか?」
「大事だ。だから信頼できるものに託したい。会社も、浅緋も」
片倉が起業したころなら、園村ホールディングスに片倉が関わることなど考えられなかった。
けれど、今のグローバル・キャピタル・パートナーズならそれも不可能ではないはずだ。
預かったスマホを動かして、次の写真も見せてもらう。
綺麗な横顔と、カメラに気づいて赤くなって照れてしまっている正面の顔。
そして遠くから園村と話しているらしき会社での姿もあった。
「これは?」
「うん。うちの社のものが撮ったやつだな。本当に親バカだと笑ってくれて構わないんだが、他にやるのが心配でうちの会社で、俺の側で働かせているんだ。それでも、浅緋を嫁にとかいう声が引きも切らなくて対応に苦慮している」
「浅緋さん……」
「娘の名前だよ。茜で薄く染めた緋色のことだ。薄い緋色だよ」
「お似合いの名前ですね」
「気に入ったか?」
「素敵なお名前だと思います」
「名前じゃないよ。浅緋のことだ」
園村の意図するところを感じて、片倉は苦笑する。
「大事なお嬢さんではないんですか?」
「大事だ。だから信頼できるものに託したい。会社も、浅緋も」
片倉が起業したころなら、園村ホールディングスに片倉が関わることなど考えられなかった。
けれど、今のグローバル・キャピタル・パートナーズならそれも不可能ではないはずだ。