僕惚れ③『家族が増えました』
「初めまして。えっと、山端さんと……三木さん、でしたっけ? 僕は彼女とここに住んでいる池本です。さっき帰ってきたばかりなんで、いまいち状況が把握できていないんですが。――少しお話をうかがっても?」
本心ではモヤモヤイライラ炸裂中の理人だったけれど、声と顔は極めて穏やかににこやかに。加えて、子猫の頭を撫でているので、ほんの少しだけ気持ちが和らぐ。
でも、葵咲だけはそんな理人の様子をおかしいと勘付いたらしい。
「……理人?」
疑問形で小さく呟くと、理人の服をほんの少し引っ張ってきた。
理人はそれを視線だけ流して黙殺すると、「立ち話もなんですし、中へどうぞ」と道をあけた。
そうしておいてから、
「葵咲、ごめんだけど……お茶、頼めるかな?」
有無を言わさぬ調子でにっこり笑ってそう告げる。
普段ならお茶なんて、理人が葵咲の分まで淹れているくらいだけれど、今はとりあえずこの男たちから葵咲を遠ざけたい一心だ。
「……あ、うん、分かった」
何となく理人の不機嫌さに気付いている葵咲が、大人しく彼に従ってキッチンへ消える。
本心ではモヤモヤイライラ炸裂中の理人だったけれど、声と顔は極めて穏やかににこやかに。加えて、子猫の頭を撫でているので、ほんの少しだけ気持ちが和らぐ。
でも、葵咲だけはそんな理人の様子をおかしいと勘付いたらしい。
「……理人?」
疑問形で小さく呟くと、理人の服をほんの少し引っ張ってきた。
理人はそれを視線だけ流して黙殺すると、「立ち話もなんですし、中へどうぞ」と道をあけた。
そうしておいてから、
「葵咲、ごめんだけど……お茶、頼めるかな?」
有無を言わさぬ調子でにっこり笑ってそう告げる。
普段ならお茶なんて、理人が葵咲の分まで淹れているくらいだけれど、今はとりあえずこの男たちから葵咲を遠ざけたい一心だ。
「……あ、うん、分かった」
何となく理人の不機嫌さに気付いている葵咲が、大人しく彼に従ってキッチンへ消える。