僕惚れ③『家族が増えました』
それを確認した理人が「どうぞ」と促すのへ、直人が戸惑いをあらわにする。
困ったように理人を見て、そうして背後の逸樹を振り返った。
その視線を受けて逸樹が口を開く。
「猫、アンタん家で飼うことにしたんだな? それが確認できたら用はねぇよ」
何の前置きもない、単刀直入な物言いに、理人は瞳を見開いた。
(わー、僕も結構イライラしてるけど、この男には負ける)
恐らくは、逸樹も何かに苛ついている。
別に理人も葵咲も逸樹に対して何かをした覚えはないけれど……。
そこまで考えて、理人はふと思い至った。
(あー、もしかして上がれって言ったのが気に入らないのかな?)
お隣さんは、どうやら用件を済ませたらさっさと帰りたいらしい。
「ちょっ……だから、言い方!」
逸樹のつっけんどんな物言いに、直人が慌てたように彼を振り返って、それから理人に向き直って申し訳なさそうに頭を下げる。
「ホント、すみません」
別に直人が悪いわけではないのだが、こうして見ていると、なんだか二人は身内のように見えて。
それも友人とか兄弟とかそういう枠ではなく――。
(――もしかして……恋人?)
理人は眼前の二人が男同士であるにも関わらず、そう思ってしまって、自分で自分の思考に驚いた。
(まぁ、別に僕には関係ないんだけど)
思いながら、自分の腕の中で眠ってしまった子猫を見つめてほうっとひとつ溜め息をつく。
「いや、構いませんよ。じゃあ、ここで手短にこっちの用件だけ。この猫はどういう経緯で?」
困ったように理人を見て、そうして背後の逸樹を振り返った。
その視線を受けて逸樹が口を開く。
「猫、アンタん家で飼うことにしたんだな? それが確認できたら用はねぇよ」
何の前置きもない、単刀直入な物言いに、理人は瞳を見開いた。
(わー、僕も結構イライラしてるけど、この男には負ける)
恐らくは、逸樹も何かに苛ついている。
別に理人も葵咲も逸樹に対して何かをした覚えはないけれど……。
そこまで考えて、理人はふと思い至った。
(あー、もしかして上がれって言ったのが気に入らないのかな?)
お隣さんは、どうやら用件を済ませたらさっさと帰りたいらしい。
「ちょっ……だから、言い方!」
逸樹のつっけんどんな物言いに、直人が慌てたように彼を振り返って、それから理人に向き直って申し訳なさそうに頭を下げる。
「ホント、すみません」
別に直人が悪いわけではないのだが、こうして見ていると、なんだか二人は身内のように見えて。
それも友人とか兄弟とかそういう枠ではなく――。
(――もしかして……恋人?)
理人は眼前の二人が男同士であるにも関わらず、そう思ってしまって、自分で自分の思考に驚いた。
(まぁ、別に僕には関係ないんだけど)
思いながら、自分の腕の中で眠ってしまった子猫を見つめてほうっとひとつ溜め息をつく。
「いや、構いませんよ。じゃあ、ここで手短にこっちの用件だけ。この猫はどういう経緯で?」