僕惚れ③『家族が増えました』
***
リビングに行くと、葵咲はまだ鏡台の前にいて、髪の毛を結びなおしているところだった。
何もしないままでも十分可愛かったけれど、サイドアップにゆるっとまとめられた髪型を見て、初エッチのときのことがふと脳裏を過ぎった。
(思い出の髪型……)
きっと葵咲は無意識なんだろうけれど、理人はそういうひとつひとつを、とても鮮明に覚えている。
「理人、お待たせ。――行こう?」
葵咲にそっと腕に触れられて、理人は思考を中断させた。
「セレ、一匹にしといて大丈夫かな?」
葵咲がリビングの方を振り返って眉根を寄せるのへ、
「今は眠っているからきっと大丈夫だよ。けど心配だし、さっさと行って、さっさと帰ってこよう」
心の中で、葵咲ちゃんの裸を隅々までチェックする時間も確保しないといけないし!と付け加えてから、顔は至って平静を装う。
「明日は動物病院に連れて行って健康チェックもしてもらおうね」
理人がニコッと微笑んでそう言うと、葵咲もホッとしたようにうなずいた。
理人はそんな葵咲を見ながら、彼女の左手薬指にはめられた、婚約指輪を無意識に確認していた。
(葵咲ちゃんは僕の婚約者だ。僕以外が彼女に何かするのは絶対に許すわけにはいかない)
そう、思いながら。
リビングに行くと、葵咲はまだ鏡台の前にいて、髪の毛を結びなおしているところだった。
何もしないままでも十分可愛かったけれど、サイドアップにゆるっとまとめられた髪型を見て、初エッチのときのことがふと脳裏を過ぎった。
(思い出の髪型……)
きっと葵咲は無意識なんだろうけれど、理人はそういうひとつひとつを、とても鮮明に覚えている。
「理人、お待たせ。――行こう?」
葵咲にそっと腕に触れられて、理人は思考を中断させた。
「セレ、一匹にしといて大丈夫かな?」
葵咲がリビングの方を振り返って眉根を寄せるのへ、
「今は眠っているからきっと大丈夫だよ。けど心配だし、さっさと行って、さっさと帰ってこよう」
心の中で、葵咲ちゃんの裸を隅々までチェックする時間も確保しないといけないし!と付け加えてから、顔は至って平静を装う。
「明日は動物病院に連れて行って健康チェックもしてもらおうね」
理人がニコッと微笑んでそう言うと、葵咲もホッとしたようにうなずいた。
理人はそんな葵咲を見ながら、彼女の左手薬指にはめられた、婚約指輪を無意識に確認していた。
(葵咲ちゃんは僕の婚約者だ。僕以外が彼女に何かするのは絶対に許すわけにはいかない)
そう、思いながら。