僕惚れ③『家族が増えました』
 葵咲(きさき)の、口元にあてがわれた左手を右手でソファに縫い留めると、わざと胸の先端の一番敏感なところに吐息がかかるように意識しながら、「ダメだよ葵咲。声を封じちゃ」とたしなめる。

 理人(りひと)が言葉をつむぐたびに唇が乳首の先を(かす)めて、その刺激に、葵咲がギュッと目をつぶって「……んっ」と賢明に声を噛み殺す。

 それを確認してから、わざと葵咲の固く張り詰めた先端を少し強めに甘噛みしてやると、葵咲は(こら)え切れずに一際(ひときわ)大きな声で()いた。

 恥ずかしさから、目端(めはし)に涙がにじんでいるのが何とも艶めいていて、理人はごくりと生唾を飲み込む。

 その刺激でさえも、葵咲には我慢できないらしい。

 モジモジと太ももをすり合わせて理人を誘う。

 いや、当人には誘っているつもりは微塵もないのだけれど、理人には「下も触って?」と言われているようにしか見えなくて。

 胸を刺激していた左手を、脇腹を這わせるようにして下方へ下ろしていくと、薄手のズボンの上から葵咲の下腹部を軽く撫でる。

 ギュッと閉じられた脚をわざわざ割ることはせず、ウエスト部から一気に下着の中へ手を侵入させると、汗ばかりではない湿り気を帯びた谷間を中指の腹でそっと辿(たど)る。

 仰向(あおむ)けに寝そべっている葵咲の、敏感なところにはおへそ側からアプローチすればすぐで。

 葵咲の(もも)がギュッと閉じられているために、腕ごと(あわい)に割り込ませることは無理だったけれど、指一本くらいなら余裕で滑り込ませられる隙間がある。
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