僕惚れ③『家族が増えました』
「葵咲、朝だよ? 起きられる?」
眠る葵咲の額へ、理人が柔らかく口付けて、軽くゆすり起こしたら、大きくて愛らしいアーモンドアイがぼんやりと瞬《まばた》きを繰り返しながら理人を見つめてきた。
無意識のようにゆっくりと伸ばされてきた腕の袖口からチラリと見えた鬱血の痕。その腕にぎゅっと抱きしめられたのが切なくて、理人は軽く唇を噛んでから、葵咲の身体を優しく抱き起こす。
寝起きの葵咲に求められるまま、再度彼女の唇を塞いだら――。
(……また勃っ……!)
こんな状態だというのに。性懲りもなく葵咲を抱きたくなったことに自分で自分が嫌になる。さすがにこれ以上彼女の身体を貪るわけにはいかない。
理人は理性を総動員して葵咲をベッドから抱き上げると、そのままキッチンへと運んだ。
食卓についてからもぼんやりと眠そうな葵咲が心配で堪らない理人は、オロオロと問いかける。
「葵咲、大丈夫? 学校、行けそう?」
目が覚めるように、と少し濃い目に淹《い》れたホットコーヒーを「熱いから気をつけて」と言い添えて葵咲の前に置くと、キッチンに立つ理人の足元にまとわりついていたセレが、「おいしいものなら自分にもちょうだい」とせがむように「にゃーん」と鳴いて葵咲の膝に載った。
「ひゃっ!」
本当にぼんやりしていたんだろう。セレに爪を立てられて、びっくりしたように、葵咲が視線を自分の太腿へ落とす。
「セレ?」
言いながら葵咲が頭を撫でると、セレは気持ちよさそうに目を細めてゴロゴロと喉を鳴らした。
そうして葵咲の手にしたカップの中を覗き込んでそのにおいを嗅いでから、美味しそうにないと思ったのか、ふいっとそっぽを向いてあっちへ行ってしまった。
眠る葵咲の額へ、理人が柔らかく口付けて、軽くゆすり起こしたら、大きくて愛らしいアーモンドアイがぼんやりと瞬《まばた》きを繰り返しながら理人を見つめてきた。
無意識のようにゆっくりと伸ばされてきた腕の袖口からチラリと見えた鬱血の痕。その腕にぎゅっと抱きしめられたのが切なくて、理人は軽く唇を噛んでから、葵咲の身体を優しく抱き起こす。
寝起きの葵咲に求められるまま、再度彼女の唇を塞いだら――。
(……また勃っ……!)
こんな状態だというのに。性懲りもなく葵咲を抱きたくなったことに自分で自分が嫌になる。さすがにこれ以上彼女の身体を貪るわけにはいかない。
理人は理性を総動員して葵咲をベッドから抱き上げると、そのままキッチンへと運んだ。
食卓についてからもぼんやりと眠そうな葵咲が心配で堪らない理人は、オロオロと問いかける。
「葵咲、大丈夫? 学校、行けそう?」
目が覚めるように、と少し濃い目に淹《い》れたホットコーヒーを「熱いから気をつけて」と言い添えて葵咲の前に置くと、キッチンに立つ理人の足元にまとわりついていたセレが、「おいしいものなら自分にもちょうだい」とせがむように「にゃーん」と鳴いて葵咲の膝に載った。
「ひゃっ!」
本当にぼんやりしていたんだろう。セレに爪を立てられて、びっくりしたように、葵咲が視線を自分の太腿へ落とす。
「セレ?」
言いながら葵咲が頭を撫でると、セレは気持ちよさそうに目を細めてゴロゴロと喉を鳴らした。
そうして葵咲の手にしたカップの中を覗き込んでそのにおいを嗅いでから、美味しそうにないと思ったのか、ふいっとそっぽを向いてあっちへ行ってしまった。