初恋グラフィティ

「ユキちゃん…」


「ん…?」


「もしかして、昨夜泣いてた…?」


「……」




ユキちゃんは再び口を閉ざしたけど、またすぐ笑ってテーブルの上のグラスを手にした。




「志保はホントに俺のことよく見てるんだな…。実は実穂と別れてから、何かよく眠れなくてさ…」




ユキちゃんは水を一口飲んで続けた。




「ひとりでいるとどうしてもへこんじゃうから、志保には悪いと思ったけど、こうして声をかけさせてもらったんだ…。ホントは男友達でも誘えばいいんだろうけど、男同士っていうのもなんか味気なくてさ…」


「そうだったんだ…」




それでユキちゃん、私に遊ぼうなんて言ったんだね…。




「ごめんな、志保のこと利用させてもらったみたいで」




私は首を横に振った。




「別にいいよ…。私だってこうしてユキちゃんと出かけられて嬉しいし…」


「そう…?」



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