初恋グラフィティ

放課後。


6時に部活が終わると、私はユキちゃんの親友・恭平さんを訪ねて、彼が勤める美容院へ行ってみることにした。




恭平さんとは以前ユキちゃんの家の前で会い、


ユキちゃんから「こっちは親友の藤沢恭平で、こっちが隣に住んでる星野志保」と紹介してもらった程度の関係だけど、


そのとき恭平さんは「俺、ここに勤めてるんだ。よかったら今度来てよ。サービスするから」と言って、お店の割引券をくれたのだった。




地味で固そうなユキちゃんに対し、恭平さんは茶髪にパーマで随分派手なシャツを着ていた印象がある。



どうしてこんなチャラ男がユキちゃんの親友なのかなと思ったけど、


聞けばふたりは小学校以来の仲良しで、別々の進路に進んでからも時々会ってるらしかった。






恭平さんは私のことなんて覚えてないだろうなと思いながらも、


私は財布の中に眠らせていた割引券を手にすると、そこに書かれてある住所へと急いだ。



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