初恋グラフィティ
…けど、
そんな話をされたせいか、恭平さんに同情してしまう自分がいるのも確かだった。
私は持っていた写真を再度じっくり眺めてみた。
恭平さんのお母さんは、彼によく似た瞳でやさしそうに微笑んでいる。
こんなにやさしそうな人がもうすぐ死ぬだなんて、何だか信じられない話だった。
「出産するとなると学校もやめてもらうことになると思うけど、俺一生懸命働くし、志保ちゃんは安心して専業主婦やっててくれればいいからさ…」
恭平さんが私の顔を覗き込んだ。
「ね…?」
「……」
ダメ…、
ダメだよ…。
私、ユキちゃんが好きなんだもん…。
ユキちゃんのところへ行かなきゃ…。