初恋グラフィティ
…そういえば、
ユキちゃんの話、まだ何も聞かせてもらってないや。
何か教えてもらわなきゃ、ここまで来た意味がないよね…?
私は再び口を開いていた。
「あの…」
「ん?」
「ユキちゃんが来月の初めに引っ越すって言ってたんですけど、恭平さん、何か聞いてます…?」
私がたずねると、彼は「え…、何かって何…?」と逆に私に聞いてきた。
「その…、女の人と一緒に暮らすことにした、とか…」
思い切ってそう言うと、鏡の中の彼が笑った。
「へー。やっぱそういうの気になるんだ…?」
「あ…、はい…」
「ふーん」
「…っていうか私、ユキちゃんのこと、あまりにも知らなすぎるんで…。ホントは彼のこと、もっといろいろ知りたいんですけど…」