初恋グラフィティ
私が困惑していると、恭平さんがやって来て言った。
「母さん、俺そろそろ志保ちゃん送ってくるからさ、その話はいったんそこで終わりにしてよ」
すると恭平さんのお母さんは、着物と私を見比べながら残念そうに言った。
「何…、志保ちゃんもう帰っちゃうの…?」
「あっ…、はい…」
私はとりあえずうなずいた。
「そう…。それは残念ね」
恭平さんのお母さんは私を玄関まで見送ってくれたけど、
私は「また遊びに来てね」と言ってくれた彼女の顔をまともに見ることができなかった。