初恋グラフィティ
「あの…」
「ん?」
「あ…、えと…」
何だか頭がよく働かなかった。
「もしかして、プロポーズの返事をしに来てくれたの…?」
「いえ…、別にそういうわけでもないんですけど…」
考えてみれば、
恭平さんに会って話をしてみたかったのは確かだけど、
何をどう話したいとかいうのはなかった。
それを上手く説明できないと思った私は、とりあえず自分の気持ちを正直に話すことにした。
「すみません…。特に話があるわけじゃなかったんですけど、きのう恭平さんに聞いた話が気になって、何となく来てみたかっただけなんです…。ごめんなさい…」
私が頭を下げると、
「そっか…。悪かったね、こんなとこまで連れて来て…」
恭平さんは軽くため息をついた。
「いえ…」
自分が言いたいのはもっと違うことのような気がしたけど、やっぱり言葉が出てこなかった。