初恋グラフィティ
そうこうしてるうちに車があったまったと言って、恭平さんはギアを入れ替え、アクセルを踏んだ。
「どうしよ…?志保ちゃんちじゃなくて、幸男のアパートに送ろうか…?」
「え…?」
「だって志保ちゃん、昨晩あいつと連絡取れなかったんでしょ…?あいつともちゃんと話したいんじゃない…?」
「そう…ですね…」
私はちょっと考えてみた。
ユキちゃんがどうして恭平さんと一緒になれなんて言ったのか、その理由を聞いてみたい気はした。
でも
きのうの様子だと、訪ねて行っても会ってもらえないような気がする…。
だったら…。
「あの、やっぱり家でいいです…。ユキちゃんちに行っても、まともに会ってもらえないかもしれないし…」
私がそう言うと、
「そう…?じゃあ志保ちゃんちに行くよ…?」
結局恭平さんは私の家へとハンドルを切った。
窓の外を見ると、きらびやかなイルミネーションが目に痛かった。
ホントなら、きのうも今日もユキちゃんと過ごすはずだったのに、
どうしてこんなことになっちゃったんだろう…。