初恋グラフィティ
急いで着替えて下へ下りると、
リビングのソファにスーツ姿のかげちんが母と向かい合って座っていた。
「おう、具合は大丈夫か?」
私を見るなりかげちんが言った。
「あっ…、はい、まあ…」
そそくさと母の隣に腰掛けると、かげちんが母の方を見て言った。
「志保さんもいらしたので、早速本題に入らせていただきますが…」
かげちんの用件は聞かなくてもわかるような気がしたけど、こう前置きをされるとやっぱりドキドキする。
「今日伺わせていただいたのは、志保さんの成績のことでなんです」
きたぁ…!
かげちんの嫌味攻撃っ…!!
私はかげちんの長い長いお説教が始まるのを察し、思わず目をつぶった。
「お母さんには前にも電話で連絡させていただいたんですが、なぜか志保さん、2学期の後半から成績が下がる一方でして…。各教科の先生方にお聞きしても、どうも授業に集中してないようで、私としても心配していたんです…」
「そうですか…」
母が頭を下げた。