初恋グラフィティ
ユキちゃんの車はあったかくて、相変わらず芳香剤のいい匂いが漂っていた。
ハンドルを握るユキちゃんは髪型も服装もバッチリ、髭の剃り残しなんかもなくて、
カーラジオから流れてくるパーソナリティの声も以前と同じものだった。
この感覚、なつかしいな…。
でも、
どうしてユキちゃんがこんなところにいるんだろう…。
なぜ私を学校まで送ってってくれるんだろう…。
疑問に思った私は、とっさに彼にたずねていた。
「どうして…?」
「ん…?」
「ユキちゃん、どうしてこんなところにいるの…?何で私を学校まで送ってってやるなんて言うの…?私達、別れたのと同じなのに…」
するとユキちゃんは笑って言った。
「ああ…。俺さ、年末にアパートを引き払って、実家に戻って来たんだよ」
「え…?」