初恋グラフィティ

「別にいいよ…。今までどおりバスで行くし…」




私はユキちゃんの申し出をすかさず断った。




「え…、どうして…?」


「だって私、ユキちゃんにはまだ言ってなかったけど、今年度いっぱいで学校をやめて、恭平さんと結婚することにしたの…。だからそんな簡単に男の人とふたりっきりになれないっていうか、なっちゃいけないっていうか…」




私が正直に答えると、ユキちゃんは「何だ、そんなことか」と笑った。




「結婚の話は恭平から聞いてたよ…。けど、そんなこと気にしてたら、俺もう志保に会うこともできなくなるだろ…?」




え…?




「だって俺達昔なじみじゃん…?別にふたりでいたって何も問題なくない…?」




ユキちゃん…?




「だから志保もそんな気にしなくていいから」





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