初恋グラフィティ
16 さよなら
恭平さんに電話をくれたのは病院だった。
聞けば恭平さんのお母さんは、
今日は何だかひどい吐き気と痛みがあると言って、夕方鎮痛剤をもらいに病院に行かれてたのだそうだ。
けれどお母さんはそのまま病院で意識を失い、そこで息をひきとったという話だった。
病院は何度か恭平さんの携帯電話に連絡してくれたらしいけど、
携帯がマナーモードになっていたためなかなかつながらなくて、今頃やっと連絡が取れたということだった。
恭平さんは私を家まで送ると、その足で病院へ向かった。
私も一緒に行こうかと思ったけど、自分がいても足手まといになるだけだろうと思って、
結局彼にはひとりで行ってもらうことにした。