初恋グラフィティ
私が涙にむせぶと、少ししてユキちゃんが言った。
〈志保は今家にいるの…?〉
「え…?」
〈今、家?〉
「あ…、うん…」
〈じゃあ、今ちょっと出てこれる?〉
「えっ…?」
〈俺車出すから、玄関の外で待っててよ〉
そう言うとユキちゃんは、私の返事も聞かずにブツッと電話を切った。
「ちょっ…、ユキちゃん…?」
どうしようかと思ったけど、
私が行かなきゃユキちゃんはずっと待ってるだろうと思ったので、一応玄関の外に出てみることにした。
コートを羽織って表に出ると、
ユキちゃんの車が私の前で停まり、運転席の窓からユキちゃんが顔を出した。
「乗れよ」
「え…?」
「いいからちょっとデートしよ…?今朝もらったチョコのお礼もしたいしさ」
ユキちゃん…?
「ほら、早く乗って!」
「う…、うん…」