初恋グラフィティ
私はユキちゃんに言われるまま、彼と夜のドライブをすることになった。
ステレオからはユキちゃんが好きだと言っていた洋楽が流れている。
すぐ近くに感じるユキちゃんの髪は、いくぶん湿っているようにも見えた。
「ユキちゃん、もしかしてお風呂上りだった…?」
「え…?」
「何か髪の毛濡れてるみたい」
「あ…、ばれちゃった…?」
ユキちゃんの横顔が微笑んだ。
「ごめんね…。湯冷めとかして風邪ひかないかな…?」
「大丈夫。昔からバカは風邪ひかないって言うだろ…?俺、こう見えて意外とバカだから心配しなくていいよ」
ユキちゃんがふざけるように言った。
「そう…?」
「うん」
ユキちゃんは相変わらずやさしくて、それがまた私の心をしめつけた。