初恋グラフィティ

…けど、


よく見ればユキちゃんが指した星は、大犬座の首星・シリウスだった。




「ユキちゃん…」


「ん?」


「あの星…、恭平さんのお母さんの星じゃないよ…。あれは大犬座のシリウスだよ…」


「え…、そうだった…?!」


「そうだよ…。もう、そんなの常識だよ」




私が笑うと、ユキちゃんも頭をかいて笑った。




「ごめんごめん…!俺ってホントバカだよなー」


「もう、ユキちゃんってば…!」




私が再び笑うと、ユキちゃんは真面目な顔に戻って言った。






「よかった…」


「え…?」


「志保、やっと笑ってくれた」




ユキちゃん…?




「志保、いきなり電話で泣き出すじゃん…?大丈夫かなって、ちょっと心配してたんだ」




うそ…。




もしかしてユキちゃん、


私のこと慰めようとして、こんなふうに連れ出してくれたの…?




嬉しいよぉ…(泣)。



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