初恋グラフィティ

後日。


近所のセレモニーホールで行なわれた恭平さんのお母さんの通夜と告別式に、私はユキちゃんと一緒に参列した。




まだ恭平さんと正式に入籍していない私が出るような幕はなく、


私は一般の弔問客に交じって、ずっとユキちゃんの隣にいた。




葬式にはみぽりんも来ていたけど、彼女は後ろの方にひとりぽつんと座っていて、


焼香だけ済ますとすぐに姿を消してしまった。




毅然とした態度でお母さんを見送ってあげようと思っていたけど、


いざ棺桶を目にするとやっぱりダメで、


私はユキちゃんの肩を借り、声を押し殺していっぱい泣いた。






恭平さんは喪主として忙しそうにしてたから、私達とまともに話す時間なんてないみたいだった。




葬式が終わった後もバタバタしてるだろうと思ったので、私はしばらく恭平さんに連絡を取ることを避けた。



恭平さんからも連絡はなかった。



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