初恋グラフィティ
「わざわざ悪かったね…。どうぞ上がって」
そう言って玄関で出迎えてくれた恭平さんは、無理もないけど疲れきった顔をしていた。
少しやせたような感じもあって、何だかとても痛々しかった。
仏間に入って仏壇と中陰壇の前で手を合わせてから客間に戻ると、恭平さんがお茶を用意してくれていた。
「しばらく連絡できなくてごめんね」
「ううん…。こっちこそ何もしてあげられなくてごめんなさい…」
私が謝ると、恭平さんは小さくため息をついた。
「いつかはこんな日がくるって覚悟してたんだけど、いざとなるとやっぱダメだな…。いかに自分が母さんに頼りきってたかってことがよくわかったよ…」
「そう…」
「うん…」
さみしそうに微笑んだ彼に、私は何と声をかけてやればいいかわからなかった。