初恋グラフィティ
17 悪魔の変貌
翌日。
必要最小限の荷物とハムスターとそのケアセットを持って、私は恭平さんの実家へ引っ越した。
夜の生活を強要されたらどうしようかと内心ビクビクしていたけれど、
ありがたいことに恭平さんは「結婚するまでは別々の部屋で寝よう」と言ってくれたので、その心配は皆無だった。
私はとりあえず恭平さんが昔使っていたという部屋を使わせてもらうことになった。
古い学習机とパイプベッドの他、箪笥や本棚なんかも置いてある8畳の部屋で、
恭平さんが昔使っていた物がごちゃごちゃと片付けられていた。
彼が「全部捨てていいよ」と言ってくれたので、私は少しずつ片付けて、いずれここをちゃんとした自分の部屋にしようと思っていた。
つわりはおさまってきていたものの、今度は少しずつお腹がふくらみ始めて、ずっと立っているとつらいことが結構あった。
それで家事は大抵恭平さんがやってくれた。
何だか申し訳なかったけど、私は体を酷使できなかったので、仕方なく彼の好意に甘えさせてもらっていた。