初恋グラフィティ
鏡の中の自分を見ながら、
私は恭平さんのお母さんのことを考えていた。
恭平さんのお母さんもこの着物を着て、恭平さんのお父さんのところへお嫁に行ったんだよね…。
そんな大事な衣裳を今私が着ているなんて、何だかすごく不思議な気分…。
そう思うと鏡の向こうに恭平さんのお母さんの笑顔が浮かんで、
同時に切なさが込み上げてきた。
私の花嫁姿、
やっぱり恭平さんのお母さんに見せてあげたかったな…。
私はまた泣きそうになったけど、
何とかそれをぐっとこらえ、顔を上に上げた。